代謝を上げる民間療法
病院に行くほどではないけれど
なんとなく体調が悪い時、ありますよね。
あなただったらどうしますか?
いま、世界各国で医療の主軸になっているのは
西洋医学です。
日本政府がみとめる健康保険の適用範囲も、
基本的には西洋医学に由来する医療行為に限られます。
西洋医学が真価を発揮するようになったのは
1870年代に入ってから、つまり、
歴史的にはごく最近なんですね。
19世紀後半まで消毒の必要性が見落とされており、
そのために多くの患者が病院で
命を落としてきました。
当時のイギリス、グラスゴー大学の病院では、
患者の死亡率はなんと40%を超えるほど
だったとも言われています。
入院した家族や知人を亡くした方も
それだけ多かったわけで、西洋医学を提供する病院は、
現在ほど身近な存在ではなかったのです。
病院を遠巻きにしていたひとびとが
体調不良になったとき、病気になったとき、
頼りにしていたのが民間療法でした。
民間療法はひとからひとへと伝えられ、
保存されてきた伝統医療です。
民間療法の軌跡をたどると国境を越えた
歴史の道が姿をあらわします。
カンボジア伝統の民間療法「コ・クチョール」
カンボジアの民間療法として知られる
「コ・クチョール」は、別名「コイニング」
「コインマッサージ」などとも呼ばれています。
その理由は、「コ・クチョール」は
コインを使う治療法だからです。
「コ」は「Koas(剃る)」、
「クチョール」は「Kjol(病)」を意味します。
頭痛、倦怠感、風邪、発熱、腹痛、筋肉痛など、
さまざまな体調不良を改善する治療法として
親しまれてきました。
- コ・クチョールのやり方
・ 施術か所は背中か胸です。
上半身の服を脱いでベッドなど
平らな台の上に寝そべります。
胸側に施術する場合にはタオルなどをかけて
お腹が冷えないようにしましょう。
- サロンでは専用のコインを使用しますが、スプーンのようなものでも代用できます。
- 施術か所の肌にオイルや軟膏を塗布し、コインで内出血ができるまでこすります。
- 内出血の跡は虎柄模様のように形成するのが一般的です。
※刺激が強いので肌が弱い方には
おすすめできません
※飲酒後のコ・クチョールは心臓や血管に
負荷となり大変危険なのでおやめください
「コ・クチョール」の原型と目される「かっさ」
カンボジア伝統医療士協会は、「コ・クチョール」が
海外から流入してきた比較的あたらしい
風習だと主張しています。
というのも、本来のカンボジア伝統医療は
インド系だったのだとか。
インド系伝統医療と言えばアーユルヴェーダです。
身体を内側から目覚めさせようとする
アーユルヴェーダに対して、
「コ・クチョール」は皮膚刺激によって
毒素を取り除こうという、
異なる思考を秘めているようにも見えますよね。
内戦時代にカンボジアは人口が激減しました。
近現代のカンボジアで働き手不足を補ったのが、
ベトナムから入植した労働者たちでした。
「コ・クチョール」はこの時期に
カンボジア国内に広まったと思われます。
ベトナム文化の源流に目を向けてみると、
「コ・クチョール」とよく似た民間療法が
あることがわかります。
2000年以上もの歴史を持つ中国の伝統医療
「かっさ」というマッサージです。
「かっさ」は、オイルなどを塗った肌を
ヘラやレンゲでこするマッサージです。
レンゲは中華料理で使われる平底スプーンの
ような食器です。レンゲは日本の食卓では
必須アイテムというほどでもありませんよね。
1980年代から使われるようになった
「かっさ専用プレート(刮痧:カッサ)」が
日本でも安く入手できるようになっているので、
「かっさ」に興味がある方は雑貨屋や
ドラッグストアなどをチェックしてみては?
「かっさ」と「コ・クチョール」との差異は、
マッサージの対象範囲です。
「コ・クチョール」では背中か胸の
どちらかがマッサージの対象でしたが、
「かっさ」の場合は頭皮、目元を含む顔全体、
首、手足、胸、腹、背面全て、
つまり全身がマッサージの対象になります。
中医学で言うところの「経絡」「ツボ」を刺激すれば、
反射区を活性化し、リンパのよどみを押し流し、
血流改善、代謝アップに免疫力の向上まで
見込めるとのことです。
「かっさ」も「コ・クチョール」とおなじく、
肌に大きな負担がかかるため、
肌が弱い方にはおすすめできません。
私自身もかっさは、やっていて
あご回り、デコルテなどの代謝を上げるようにして
むくみ改善につなげています(^^)
慣れれば自宅にいながらできるマッサージの1つに
なるのではないでしょうか。