年齢と共に筋力の低下
加齢による筋力低下は
「サルコペニア」という名前で
国際疾病分類に登録されています。
老化を原因とする筋力低下は、
筋繊維そのものが減少するところが特徴です。
サルコペニアとよく似た症状名に
「ロコモティブシンドローム」と「フレイル」
がありますが、ロコモティブシンドロームは
転倒や関節痛によって日常生活に
困難を感じるようになった状態を言います。
そして、フレイルは筋力低下による
運動機能の低下が著しく、
要介護に至った段階を言います。
サルコペニアはロコモティブシンドロームと
フレイルの入り口というわけです。
筋力低下が原因!?事故の危険が増える
例えば、道幅が広い幹線道路の横断歩道を渡る時。
ある程度の筋力を維持できていれば、
信号が変わるまでの間に
道を渡り切れるはずですよね。
ところが、老化による筋力低下が
著しい方にとっては、青信号の継続時間が短すぎ、
同時に道路の幅が広すぎると感じられる
ことと思います。
実際、ご高齢の方が車道の中央に
取り残される事例が数多く
発生していると言います。
また、電車が走行する線路を横切る踏切でも、
踏切が開いている時間が短かったり、
線路の本数が多く、遮断機から遮断機までの間が
長すぎたりして、ご高齢の方が危険な場所に
取り残される事例が報告されています。
筋肉量減少が免疫力低下、病気に
寿命と筋肉量の関連性を指摘する声もあります。
体内に血液を送り出す要の心臓も、
血管や内臓を動かす平滑筋も、
運動機能を支える骨格筋も、
すべてが筋肉組織です。
筋肉量は20代前半をピークに減少し始め、
70歳ごろには4割程度まで減少してしまいます。
高齢期の10年生存率を筋肉量と
照らし合わせたところ、
筋肉量を維持している方ほど
寿命が長くなる傾向が明らかになったと
言うのです。
筋肉組織は最もエネルギーを消費する器官です。
筋肉量が減少すれば免疫機能の低下が
おのずと起こり、さらに、
糖の保存料が減るため血糖値が高くなります。
感染症にかかりやすく、糖尿病を発症しやすい
体質になっていき、死亡率が高くなって
しまうといった次第です。
厚生労働省によると、サルコペニアおよび
ロコモティブシンドロームまたは
フレイルの高齢男性では、健康な筋力を
維持している男性に比べて
死亡率が約2倍になるのだそうです。
ここ数年、コロナの影響もあって
運動不足になりつつあった方も多いはずです。
まだまだ若いし、そんなに筋肉量は減らないと
思わずに衰え行く筋肉に力を与え、
維持する方法を次回はご紹介したいと思います。