高齢化とともに問題視、大腸がん
「がん」は日本人の2人に1人が罹る国民病のひとつです。
この病気に関するデータは隅々まで
政府によって収集されており、
部位別のがん罹患率や生存率、
死亡者数が毎年公表されています。
その中で、日本の超高齢化とともに
問題視されるようになったのが「大腸がん」です。
大腸がんの罹患率は40歳から上昇し続ける
2019年度分の「がん統計」によると、
人口十万人当たりの大腸がん罹患率は
25歳から29歳の年齢階層を起点に
緩やかな上昇の気配を見せはじめ、
その傾向が40歳から顕著になります。
特に男性の大腸がん罹患率が
急激なうなぎのぼりの様相です。
なお、男性の大腸がん罹患率は
80歳から84歳の年齢階層を過ぎると、
緩やかに減少していきます。
女性については男性よりも
罹患率の増加が緩やかではあるものの、
95歳から99歳の年齢階層までは
ずっと上昇傾向が続き、減少しません。
大腸がんの死亡率
大腸がんとはどれくらい危険な
病気なのでしょうか?
それを知る手がかりとなるのが、
大腸がんを発症してからの生存率です。
大阪府のがん診療拠点病院のひとつ、
近畿大学病院の場合、
ステージⅠ期の5年生存率ならば91.6%、
Ⅱ期では84.8%、Ⅲ期でも72%だといいます。
ただし、Ⅳ期の場合は
手術療法での治療が望めないとのことで、
病院としての5年生存率の記述はありませんでした。
注1 がん診療拠点病院とは
質の高いがん医療体制を整えている
医療機関を政府が評価し、指定するものです。
がん診療拠点病院は厚生労働省ホームページか、
都道府県それぞれの自治体ホームページで調べられます。
注2 大腸がんのステージⅠからⅣの評価
初期の大腸がんのうち、
がん化の深達度がごく浅いものを
ステージⅠ期、多少深くなっていても
転移するほどではないものをステージⅡ期、
リンパ節転移が見られるものをステージⅢ期、
遠隔転移が起こっているものをステージⅣ期と評価し、
数字が増えるほど深刻になります。
「大腸がん」と老化の間にどのような関りがあるのか
大腸がんと老化の因果関係について、
2021年に興味深いデータが公表されています。
大阪大学による大腸がん患者と健常者の
腸内細菌叢の大規模比較解析の結果に関連して、
老化細胞の影響にも指摘がありました。
細胞分裂をやめた老化細胞は、
実はがん抑制機構として働く側面を
持っているのだとか。
ただし、細胞老化の原因となる菌は
宿主細胞の発がんを促す性質を持ち、
また同時に、老化細胞の蓄積も
発がんを促すため、老化が大腸がんの
引き金になっている可能性が高いというのです。
究極の大腸がん治療は予防!
早期発見と早期治療こそ、
がん治療で生存率を上げる秘訣です。
どの病院でも、どんな医師でも、
この点に関しては共通した見解を示すはずです。
ステージが高いほど治療は困難になり、
生存率も低下します。
しかも、大腸がんの場合は治療できても
人工肛門になってしまうケースが多く、
その後の人生に多大な影響が残ります。
再発する可能性もゼロではありません。
つまるところ、究極の「大腸がん」治療は
予防なのです。
大腸がんを予防するために有効な
取り組みをピックアップすると、
驚くほど一般的なアンチエイジングと共通しています。
アンチエイジングで大腸がん予防
1・肉食を減らし食物繊維を多く摂取するようにする
食物繊維は腸内細菌叢を整え、
大腸がんリスクを抑制すると考えられます。
腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を
整える食べ物としては、
オリゴ糖、ヨーグルト、海藻、納豆、キムチ、
ぬか漬け、ごまなどが有名です。
2・セノリティクスを摂取する
セノリティクスは老化細胞を取り除く
作用を持つ成分の総称です。
がん免疫療法でも実用化されており
さらには、「アンチエイジングの切り札」と
呼ばれることもあります。
セノリティクスを摂取すれば
組織内の老化細胞を選択的に排除でき、
大腸がんリスクを抑制できます。
3・栄養摂取量を制限するとアンチエイジング効果を得られる
栄養摂取量を制限し、
あえて肉体を飢餓状態に持ち込むと、
細胞のオートファジー(自己消化)機能が
目覚めます。
細胞分裂をやめた古い細胞を殺し、
新しい細胞の栄養として再利用し始めるのです。
この手法を使えば、
セノリティクスを摂取しなくても
老化細胞を排除でき、細胞を若返らせる
ことが可能です。
老化細胞の蓄積が大腸がん発症の一因であるため、
飢餓によるアンチエイジングは
大腸がん予防として有効な手段と言えそうです。
ただし、健康的なファスティング(絶食)には
専門知識が欠かせません。
『挑戦してみようかな?』
と思った方は、事前にかかりつけ医に
ご相談なさることをおすすめいたします。
4・がん予防につながるアンチエイジングの基本
運動の健康効果は厚生労働省も
認めるところです。
理想としては、有酸素運動、筋力トレーニング、
ストレッチ、この3つを毎日継続したいところです。
有酸素運動は1日あたり最低20分、
息切れする程度の負荷をかけると
最も効果的です。
食事は規則的に時間を守り、
野菜やきのこ、発酵食品を多めに、
肉類は少なく、炭水化物も
できるだけ控えめを心掛けてください。
『もうちょっと食べたいな』と
思ったところで食事をやめるのが、
アンチエイジングの秘訣なのではないでしょうか。