将来を見据えた健康的なダイエット

日本人は欧米諸国に比べて

「痩せたい」

「人からスマートだと思われたい」

という意識が強いと言われているそうです。

肥満への嫌悪感を抱えがちで、

その分だけ痩せ傾向が顕著です。

しかし、健康面からみれば痩せればいいと

いうものではないということも

多くの方が認識していることでしょう。

 

高齢の方では、肥満気味よりもやせ型のほうが

突然死のリスクが高くなります。

とはいえ、これもまた一概に太っているほうが

いいとも言い切れませんが…

不健康な太り方は成人病に直結するからです。

実際、健康診断でメタボリック・シンドローム

その予備軍と指摘され、生活改善の指導を

受けた方も多いのではないでしょうか?

 

肥満の傾向は年齢を重ねるほど強くなっていきます。

 

BMIを用いた統計で20代以上の肥満者を

年齢分布に割り当てたところ、

男女ともに20代から40代に向けて肥満者が増加

していることが分かりました。

そして、女性についてはそのまま50代、60代と

肥満者は増え続けます。

健康寿命を念頭に置くなら、

体重よりも重視すべきは内臓脂肪です。

適正体重よりも大幅に痩せている

「やせ型」なのに「肥満」というケースがあります。

それは運動をしない生活を送っている方に

多い内蔵型肥満で、「メタボリック・シンドローム」

と呼ばれる状態です。

「メタボリック・シンドローム」では

内臓脂肪が蓄積しているので、動脈硬化、

ひいては脳血管疾患のリスクが高い、

立派な成人病予備軍となります。

なお、日本人全体に対する

「メタボリック・シンドローム」の割合は31.9%、

男女別では男性52%、女性17.5%でした。

令和元年(2019年)国民健康・栄養調査報告

「メタボリック・シンドローム」の調査項目に準拠するデータです。

コロナの影響で肥満に?ダイエットを見直そう

もう一つ注目したい統計があります。

現在、コロナ禍の影響で3人に1人が

体重増加傾向にあるとされていますが、

運動習慣がある人口は国民総数に対して28.7%で、

不健康な肥満傾向を示す人口を

吸収できるほどには増えていません。

また、ダイエット人口の中心は若い女性であり、

同年代の男性では体重を測定する

習慣さえない人口が多数を占めます。

さらに、ダイエットの手法や成功率にも

懸念すべき要素が散見されます。

例えば、若い女性が取り組むダイエットの

ほとんどが「食事制限」「ファスティング」「糖質制限」

など、食べず、運動せず、ひたすら我慢する

というものでした。

当然、ダイエットの成功率は低く、

なおかつそのほとんどがリバウンドで

ダイエット後に体重が増加しています。

 

食べない、運動しない、ダイエットでいいのか?

主食を抜くだけ、置き換えるだけ、

1食から2食我慢するだけ、など、

食事制限タイプの「●●するだけダイエット」

は確かにお手軽です。

余計な時間をかけず、大した手間もかかりません。

しかし、ただそれだけの行いが将来のQOLを

地の底に叩き落す可能性があるのだとしたら

どうなるでしょうか?

若い女性の「やせ(低体重)」は、卵巣機能の低下や、

齢をとってからのロコモティブシンドローム、

フレイルの頻度を高めると指摘されています。

ロコモティブシンドロームとは運動器の障害のことで、

思うように体が動かなくなり、

自立した生活が難しくなります。

フレイルは虚弱のことで、要介護の原因にもなります。

食べることは生きることにほかなりません。

糖質制限や断食ダイエットのような

「●●するだけダイエット」ではなく、

将来を見据えながらの「生活設計」こそ、

効率的なダイエットなのかもしれません。

 

  • 理想的なダイエットのための生活設計にかかわる要素

1、栄養バランス

2、運動

3、睡眠

 

コロナ禍で体重増加傾向に転じた人々の

声を分析すると、運動の機会と時間の減少

食事内容の傾向が問題点として浮上します。

特に若い世代では、通学、通勤が減り、

自宅で過ごす時間が大幅に増えました。

食事内容については、

デリバリーサービスを利用する機会が増えています。

運動時間の減少と同時に、脂肪、糖質、

塩分の過剰摂取が習慣化したことが

肥満傾向の原因と見られます。

 

さらに、屋外で太陽のもとで活動する時間の

減少とともに、就寝時間が不安定になったり、

睡眠時間が短く、あるいは長くなったりと、

睡眠の質が低下している面もあります。

睡眠の質は代謝にかかわる重要な要素です。

生命活動の基本であるエネルギー源になる食べ物、

代謝にかかわる酵素が働くために欠かせないビタミン、

そしてミネラル、老廃物の排出に役立つ食物繊維など、

栄養素をまんべんなく摂取できるように、

食事は3食欠かさず、

バランスよく食べるようにしたいですね。

代謝を促す適度な運動、

巡りを整える入浴と睡眠、日光浴も大切です。