フレンチ・パラドックスで健康に

 

赤ワインはフランス人に「フレンチ・パラドックス」の

健康効果を与えた源だと考えられています。

「フレンチ・パラドックス」とは何なのでしょうか。

フランス料理を思い浮かべてみてください。

バターたっぷりの肉料理、砂糖と乳脂肪分がふんだんに

使用されたデザート、そしてほんの少し添えられた彩野菜……

健康の正反対へと一直線にダッシュするような内容ですよね?

フランスと同様の食文化を形成している

欧米諸国では虚血性心疾患(心臓病)の

罹患率と死亡率が高く、

1980年代には世界保健機構(WHO)が提言を

発信するほど問題視されるようになっていました。

乳脂肪分の摂取量と心臓病の死亡者数が

比例することを示したグラフが、

西洋式食生活の問題点をピックアップするために

まとめられた資料のひとつとして記録されています。

この時に注目されたのがフランスでした。

イギリス、デンマーク、オーストラリア、ドイツといった

欧州各国がこのグラフで死亡者数上位の国として

分布しているのですが、同様の食文化を持つ

フランスだけがはっきりと異なる傾向を示したからです。

心臓病による死亡者数を数字で比較すると、

ドイツ、オランダとフランスでは2対1、

イギリス、デンマークとフランスでは3対1となります。

 

フレンチ・パラドックスとは

「パラドックス」は矛盾という意味です。

「フレンチ・パラドックス」は、喫煙率や動物性脂肪の

摂取率が高いにも関わらず心臓病による死亡率が低い

という矛盾を表現する言葉です。

 

フランスだけがなぜ脂肪分の過剰摂取による

心臓病を抑制できているのか、

イギリス、デンマークなどの国々とフランスで

何が違うのか、1980年代後半から、

世界中の研究者たちがこぞって

フランス人の食生活を観察し、分析し始めました。

大きな数字の観察で、まずはフランス人が

その他の国に比べてはるかに

多くのワインを消費していることが

明らかになりました。

次に、ワインの成分が分析にかけられ、

抽出された成分を用いた実験が行われました。

結果として、赤ワインに含まれる

「レスベラトロール」体内酵素を活性化させ、

病気の予防に寄与していることが

分かったのです。

「フレンチ・パラドックス」は西洋式食生活が身体を

むしばむ危険性を指摘すると同時に、

赤ワインという希望を人類にもたらしたとも言えます。

 

フランス産赤ワインは抗酸化力が高め

赤ワインが心臓病予防の力を発揮する源は、

抗酸化物質レスベラトロールです。

このレスベラトロールの含有量を比較してみたところ、

フランスの赤ワインはドイツの赤ワインに比べて

なんと2倍ものレスベラトロールを

含んでいることが分かったのだそうです。

老化研究の権威であるデビッド・A・シンクレア氏も

また著書「ライフスパン」のなかで

フレンチ・パラドックに言及しています。

それによると、厳しい環境にさらされた

ブドウが生き延びるために生成した物質こそが

レスベラトロールなのだとか。

フランスでもとりわけ有名なワインの産地、

フランス南部ブルゴーニュ地方は

植物にとって厳しい気候の土地です。

夏は暑く、冬は寒いうえにカラカラに乾いた空気が

長く続きます。

必死にレスベラトロールを生成して

耐え抜いたブドウから作られた赤ワインが

高い抗酸化力を持つ製品に仕上がるのも

不思議ではありません。