ゾンビ細胞は増殖する!

ヒトの身体を構成する細胞は

肉眼では見えないほど小さな器官です。

どれほど小さいかというと、一般的な定規の

最小単位である1ミリメートルのおよそ50分の1程度

とされています。

しかし、そのひとつひとつが膨大な

情報量を持っているのです。

『細胞は宇宙そのものである』

2018年に亡くなった理論物理学者、

スティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士が

残した言葉です。

生命の神秘にかかわる研究がいかに遠大なものかを

象徴するようでもありますね。

 

ヒトの命はどこからきて何処へ行くのでしょうか?

卵子というたったひとつの細胞が

分裂を繰り返して30兆個を超える組織になり、

五臓六腑が連携して「生命」の営みを

繰り広げたかと思えば、全ての機能が減衰しはじめ、

やがて死に至ります。

機能の減衰は老化現象と呼ばれます。

なぜ老化が起こり、生命活動は破綻に

追いやられるのでしょうか?

その答えのひとつが「ゾンビ細胞」です。

 

細胞の一生を観測、ゾンビ細胞の存在

細胞は常にストレスにさらされていて、

傷ついたり、壊れたり、古くなったりしたものから

どんどん新しく入れ替わっています。

正常なヒト細胞が分裂して新しい細胞を

生み出すのですが、ひとつの細胞から

無限に増殖できはしません。

50回程度の分裂が限界です。

細胞は「自分はこの場所でこのように機能する細胞である」

という情報を搭載しており、

分裂する際に少しずつ染色体の末端が欠けていき、

50回程度分裂したところで

『テロメアが致命的な短さになる』のだと、

ハーバード大学教授デビッド・A・シンクレア氏は言います。

 

分裂限界に達した細胞は、あるものは

自ら死んでマクロファージに取り込まれ、

消化されます。

これが最も健康的な流れです。

あるものは老化細胞になり、

死を拒む「ゾンビ細胞」として居座ります。

これが厄介な理由は、ただ居座るだけでなく、

周辺細胞にまで炎症を引き起こし

健康な細胞にまでゾンビ化を蔓延させるからです。

またあるものはガン化し、死病を誘発します。

細胞のガン化は1日に5000個のペースで

起こっていると考えられています。

通常は免疫細胞の働きでこれが取り除かれ、

人体の健康が守られているのです。

ところが老化細胞、つまり、「ゾンビ細胞」が増えると、

免疫細胞の働きも減衰します。

細胞の老化そのものが炎症を引き起こして

病気の原因になると同時に、

細胞のガン化から身を守る機構や、

肌のハリを保つ細胞の生産機能、

骨の強度を保つ細胞の増殖機能、

臓器の健康を守る防衛機構など、

ありとあらゆる面で支障をきたすようになります。

これこそが細胞の一生から見る老化の仕組みというわけです。

 

ゾンビ細胞をよみがえらせる!?

老化してゾンビ化した細胞は、放っておくと

周囲の健康な細胞までゾンビ化させると言いましたね。

まるでゾンビがモチーフのパニック映画のように。

事実、全てのヒトの身体のなかで

起こっている現象だという点を

認識しておくことが大事です。

ゾンビ細胞からはすでに存在意義を決定する情報が

失われているため、本来の役割への復帰は

かぎりなく困難です。

再利用できないゾンビ細胞は

取り除く必要があります。

ゾンビ細胞を除去するいっぽうで

細胞の老化そのものを抑止できれば、

きわめて効率的なアンチエイジングにも

つながるのではないでしょうか。

 

ゾンビ細胞のまとめ

・ゾンビ細胞は分裂しない、生産しない、蓄積し、周辺細胞もゾンビ化!

・肌の老化細胞が増えるとハリが失われシミ、シワが増える。骨の場合は骨粗しょう症に!

・ゾンビ細胞の増加で免疫機能が低下してガンなどの病気リスクも増大!