高齢出産について考える
日本は少子化と高齢化が加速しているため、
人口減少と経済規模の縮小が
予想されています。
人口が急激に増加した時代と「今」では、
何が変わってしまったのか……
日本という国が考え始めたのです。
そうしてようやく、「晩婚化」と「晩産化」という
現象が注目されるようになりました。
「晩婚化」は平均初婚年齢が上昇することで、
「晩産化」は平均初産年齢が上昇することを意味します。
「晩婚化」と「晩産化」は少子化に直結します。
というのも、女性には妊娠適齢期が存在するからです。
なお、妊娠適齢期の上限に近づいた年齢で
出産することを「高齢出産」と言います。
女性にとって「妊娠」「出産」は命の危険を伴う大仕事です。
若い女性ですらそうなのです。
「高齢出産」にはさらにおおきな危険が伴います。
何歳からが「高齢出産」なの?
女性の身体が妊娠可能になるのは10代からです。
しかし、15歳と言えば日本の教育制度では
まだまだ義務教育のまっただなかですよね。中学生です。
妊娠可能な身体になったから15歳で妊娠、
16歳で出産したとして、子どもをかかえた生活を
その後維持できるでしょうか?
社会面を考慮すると、女性の妊娠適齢期は
20歳から35歳。
35歳以降は妊娠できる確率や、健康な子供が生まれる可能性が
急激に落ち、さらに流産率や婦人科系疾患の
罹患率が急上昇していくので、
「高齢出産」は35歳からと考えられます。
高齢出産が危険?高齢出産のリスク
「35歳以上でも子どもが欲しい」
「40歳以上でも妊娠できるなら挑戦したい」
と思われる方は多いのです。
実際、近年の日本では35歳以上での出産が増えています。
不妊治療助成制度の後押しを受けて
不妊治療は一般に普及し始めています。
ところが、35歳を過ぎるとあらゆる面で
妊娠のリスクが急上昇します。
- 高齢出産で上昇する身体的リスク群
・妊産婦死亡のリスク;30歳未満と比較して35歳~39歳で4倍、40歳以上で20倍
・妊娠高血圧症のリスク上昇:脳出血、肺梗塞症、羊水栓塞症などの増加
・流産率の上昇:35歳未満と35歳以上の比較で流産率は2倍、40歳以上で2.4倍
・染色体異常児の増加:35歳以上で染色体異常児の割合4倍、40歳以上で9.9倍
・不妊、不育の増加:高齢妊娠では胎児が成長しない割合が増加
・先天性異常児の増加、周産期死亡率の上昇
・妊娠による母体の生活習慣病発症のリスク:糖尿病、高血圧、肥満などにかかりやすい
・加齢による婦人科系疾患の罹患率上昇:妊娠の合併症として子宮筋腫、卵巣腫瘍など
健康面だけでもこれだけのリスクを伴うのが「高齢出産」です。
もし30歳を過ぎてこれから妊娠したいと
考えている女性は、
不妊治療などの力を借りて
直接的に妊娠を目指すだけでなく、
リスクそのものを下げる工夫を加えることも
考えておきたいところです。
高齢出産でリスクが上がるのは「老化」
高齢出産で女性の健康が脅かされる確率が高くなり、
同時に生まれる子どもの先天性異常などの
可能性が高くなるのは「老化」もその1つ。
「老化」への対策は、重要なのことだと思います。
人体は無数の細胞の集合体です。
その総数は37兆とも60兆とも推測されていて、
実態はまだまだ神秘に包まれています。
人間の「老化」のメカニズム研究によって、この細胞は
ひとつひとつが遺伝子を内包していて、
その情報によって細胞死や生まれ変わりが
操作されていることが明らかになりました。
特に大きな役割を担うのが「長寿遺伝子」と呼ばれる遺伝子です。
「長寿遺伝子」の働きが徐々に弱って、
人体は不可逆的な老化に至るわけです。
「老化」は人体に生まれながらにして
刻み付けられていた仕組みなどではなかったのです。
妊娠できる身体を維持するために
長寿遺伝子の働きは加齢とともに弱っていきます。
ではなぜ弱るのか、研究者たちはそこに注目しました。
長寿遺伝子は体内で合成される酵素「NAD」を
エネルギー源に活動していますが、
加齢とともにその合成能力が低下します。
合成能力低下による酵素「NAD」の不足こそが
老化の原因だったのです。「NAD」の量については
体内での合成能力に依存しているため、
身体の外からは働きかけることができません。
そこで、「NAD」の材料である補酵素「NMN」の出番です。
「NMN」もまた体内で合成される補酵素のひとつです。
ただし、「NAD」と大きく違う性質があるのです。
それは、食物などにも含まれていて、
経口摂取できる点です。
米ハーバード大学の研究では、ひとの40代に相当する
月齢13ヶ月のマウスに対してNMNの投与実験を
行ったところ、出生児の数を増やすという
成果を挙げました。
「NMN」を継続的に摂取すれば、
妊娠、出産のリスクを高める「老化」への対策に
つながっていくのです。
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